ダブル不倫（W不倫）とは？慰謝料請求のリスクや本気になる注意点を解説

お互いに家庭を持つ既婚者同士が恋愛関係に陥るダブル不倫。W不倫とも呼ばれる関係は、日々の生活に潤いやときめきを与えてくれる一方で、通常の不倫とは異なる複雑な問題や大きなリスクをはらんでいます。

現在、ダブル不倫の関係にあり今後の身の振り方に悩んでいたり、既婚者との関係に踏み出すべきか迷っていたりする人もいるかもしれません。

本記事では、ダブル不倫に陥るきっかけや心理的背景を詳しく解説します。さらに、ダブル不倫に本気になってしまった場合に想定される多様なリスク、とくに慰謝料請求の問題もご紹介。

関係を続けるか別れるか、決断に迷ったときに考えたいことや、辛い関係に終止符を打つための具体的な方法まで、当事者の悩みに寄り添いながら、冷静な判断を下すための一助となる情報をお伝えします。

ダブル不倫（W不倫）とは？どこからが不倫？

ダブル不倫、またはW不倫とは、互いに配偶者がいる既婚者同士が恋愛関係になり、不貞行為に及ぶこと。

片方だけが既婚者であるケースとは異なり、当事者である男女双方が既婚者である点が最大の特徴です。関係が発覚した際には、登場人物が4人となり、問題がより複雑化する傾向があります。

法的な観点から不倫、不貞行為と判断されるのは、配偶者以外の人と自由な意思で肉体関係を持つこと。既婚者同士が食事やデートを重ねていても、肉体関係の事実がなければ法的な不貞行為には該当しません。

しかし、配偶者が精神的な苦痛を受けたと主張すれば、慰謝料請求の対象となる可能性はゼロではありません。

どこからが不倫かという線引きは、法律上の不貞行為と個人の倫理観や夫婦間の信頼関係の問題とを切り分けて考える必要があります。

ダブル不倫（W不倫）に陥りやすいきっかけと心理

既婚者が配偶者以外の人と恋愛関係になる背景には、さまざまなきっかけや心理が隠されています。家庭や仕事のストレス、パートナーとの関係性の変化など、日常に潜む些細なできごとが、ダブル不倫へとつながる入り口になることも。

ここでは、多くの人がダブル不倫に陥りやすい代表的なきっかけと、根底にある心理について解説します。

いつまでも恋愛をしていたい

結婚生活が長くなると、夫婦の関係は恋愛感情よりも家族としての情が中心になりがち。

結婚生活を続ける中で、異性として扱われる機会が減り「もう一度誰かに女性（男性）として見られたい」「ときめくような恋愛がしたい」という願望が生まれることがあります。

とくに、職場の上司や同僚など、日常的に接する相手から魅力的だと評価されると、忘れかけていた恋愛感情が再燃し、関係が発展するケースは少なくありません。

承認欲求が満たされる感覚や、恋をしている高揚感が、家庭では得られない心の充足感につながります。

ストレスが多い

仕事や育児、介護など、日々の生活で多くのストレスを抱えていると、現実から逃避したいという気持ちが強くなります。家庭が安らぎの場でなくなり、パートナーに悩みを打ち明けられない状況では、その傾向はさらに顕著になるでしょう。

そんなときに、自分の状況を理解し共感してくれる異性が現れると、心の拠りどころを求めて惹かれてしまうことも。

互いの悩みを共有し、慰め合う関係は、一時的にストレスを解消してくれるかもしれませんが、次第に精神的な依存関係へと発展していくリスクをはらんでいます。

家庭内に居場所がなく孤独や寂しさを感じている

夫婦関係が冷え切っていたり、会話がなかったりすると、家庭内にいても孤独や寂しさを感じることがあります。パートナーから大切にされていない、理解されていないという思いは、自己肯定感を低下させる原因にも。

心の隙間に、優しさや気遣いを示してくれる人が現れると、その存在がとても大きく感じられるでしょう。

自分を必要としてくれる相手との時間に居場所を見出し、寂しさを埋めるためにダブル不倫の関係にのめり込んでいくパターンです。

刺激が欲しい

結婚してからの毎日は、仕事と家庭の往復で代わり映えのしないものになりがち。穏やかな生活は幸せである一方、どこか物足りなさや退屈さを感じる人もいます。

単調な日常に、非日常的な刺激を求めてしまう心理が働くことがあります。

秘密を共有するスリルや、背徳感を伴う恋愛は、日常に強い刺激と興奮をもたらします。この刺激が一種のスパイスとなり、関係を続ける原動力になってしまうのでしょう。

お金や時間など余裕がある

子育てが一段落したり、経済的に安定したりすると、自分のために使えるお金や時間に余裕が生まれます。余裕が、新たな出会いや活動の範囲を広げるきっかけとなることも。

趣味のサークルや習い事、SNSなどを通じて新しい人間関係が構築される中で、同じような境遇の既婚者と出会い、意気投合するケースも少なくありません。

生活に余裕があるからこそ、恋愛にエネルギーを注ぐことが可能になり、関係が深まりやすい状況が生まれます。

パートナーに性的な不満を抱えている

夫婦間でのセックスレスなど、パートナーとの間に性的な不満を抱えていることも、ダブル不倫の大きな原因のひとつ。性的な欲求は人間の根源的な欲求であり、それが満たされない状態が続くと、他の異性に求めてしまうことがあります。

とくに、夫婦関係の他の側面では問題がない場合、離婚という選択肢は考えにくく、欲求不満を解消する手段として不倫関係に走ってしまいがち。

お互いに同じような不満を抱えている既婚者同士であれば、利害が一致しやすく、関係が始まりやすい傾向がありますよ。

ダブル不倫（W不倫）に本気になるリスク

「お互いさまだから大丈夫」「家庭は壊さない」という軽い気持ちで始まった関係でも、会う時間を重ねるうちに、相手への気持ちが本気になってしまうことは珍しくありません。

しかし、ダブル不倫の関係に本気になればなるほど、リスクも計り知れないほど大きくなります。ここでは、ダブル不倫がもたらす深刻なリスクについて具体的に解説します。

家庭を壊す恐れがある

ダブル不倫における最大のリスクは、2つの家庭を同時に崩壊させる可能性があること。関係がそれぞれの配偶者に発覚した場合、信頼関係は失われ、離婚に至るケースは少なくありません。

子どもがいる場合、その影響はさらに深刻です。親の離婚は子どもに大きな精神的負担を強いるだけでなく、生活環境の激変や、片方の親との別離を経験させることになりますよ。

一時的な感情のために、築き上げてきた家庭と子どもの将来を危険に晒すことになるのです。

社会的信用をなくす可能性がある

不倫の事実は、当事者の社会的な信用を著しく損なうおそれがあります。とくに、職場内でのダブル不倫（社内不倫）が発覚した場合、代償は大きいでしょう。

たとえ会社の就業規則に直接的な罰則規定がなくても、職場内の秩序を乱したとして、降格や異動、自主的な退職に追い込まれる可能性があります。

また、噂が広まれば、同僚や上司からの信頼を失い、仕事がやりにくくなることも。

自分のキャリアや築いてきた立場を、一瞬にして失うリスクがあることを認識する必要があります。

慰謝料請求される可能性がある

ダブル不倫は、不倫をされた配偶者双方の権利を侵害する共同不法行為にあたります。そのため、自分の配偶者と、不倫相手の配偶者の両方から慰謝料を請求される可能性がありますよ。

請求する側は、不倫をした自分の配偶者と、不倫相手の2人に対して請求が可能。

自分は不倫相手の配偶者から慰謝料を請求され、同時に自分の配偶者は、自分の不倫相手に対して慰謝料を請求するという、複雑な状況が発生します。

不倫相手との将来があるわけではない

「今のパートナーと別れて、不倫相手と一緒になりたい」と本気で思うようになったとしても、希望が叶うとは限りません。ダブル不倫は、互いに家庭があるからこそ成り立っていた割り切った関係であるケースも多いです。

いざ離婚という現実的な問題に直面したとき、相手は子どもや世間体を理由に離婚をためらうかもしれません。お互いがスムーズに離婚を成立させ、再婚に至るという道のりは、想像以上に困難ですよ。

相手の言葉だけを信じ、一方的に自分の家庭を壊した結果、相手は離婚せず、自分だけが全てを失うという結末も十分に考えられます。

誰にも言えない

ダブル不倫の悩みは、とてもデリケートな問題であるため、親しい友人や家族にも相談しにくいもの。一人で抱え込むしかない孤独感は、精神的に大きな負担となります。

関係が順調なときはよくても、問題が発生したときや、関係に悩み始めたときに、誰からのアドバイスも得られずに孤立してしまうでしょう。この閉塞感が、冷静な判断を鈍らせ、より深みにはまってしまう原因にもなります。

罪悪感で辛くなる可能性がある

恋愛感情で盛り上がっている間は気付きにくいかもしれませんが、関係が続くにつれて、配偶者や子どもに対する罪悪感に苛まれることがあります。

嘘をつき続けることへのストレスや、家族の顔を見るたびに感じる後ろめたさは、徐々に心を蝕んでいきますよ。

とくに、子どもの誕生日や学校行事など、家族にとって大切なイベントの際に、罪悪感は強くなる傾向があるでしょう。この精神的な苦痛が、ダブル不倫の関係そのものを辛いものに変えてしまう可能性があります。

ダブル不倫（W不倫）の慰謝料相場

ダブル不倫が配偶者に発覚した場合、法的な問題として直面するのが慰謝料請求。慰謝料の金額には明確な法律上の定めはありませんが、過去の裁判例などから形成された相場が存在します。

慰謝料は、不倫によって婚姻関係がどうなったかによって大きく変動します。

一般的に、不倫が原因で離婚に至らない場合の慰謝料相場は50万円〜100万円程度。このケースでは、夫婦関係は継続されるものの、不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償として支払われます。

一方で、不倫が原因で離婚に至った場合の慰謝料相場は、200万円〜300万円程度にまで跳ね上がることも。婚姻関係を破綻させたという事実が、より深刻な精神的苦痛を与えたと判断されるためです。

ただし、これらの金額はあくまでも目安。実際の慰謝料額は、以下のようなさまざまな事情を考慮して、個別のケースごとに判断されます。

ダブル不倫の場合、自分と不倫相手は共同不法行為者として、慰謝料の支払い義務を連帯して負うことになります。

たとえば、相手の配偶者から300万円の慰謝料を請求された場合、自分と不倫相手の双方が、300万円全額について支払い義務を負います。もし自分が300万円を支払った場合、後から不倫相手に対して、その負担割合（通常は半分の150万円）を請求する権利（求償権）がありますが、相手が支払いに応じないなど、さらなるトラブルに発展する可能性も否定できません。

慰謝料の問題はとても複雑で専門的な知識を要するため、不安な場合は弁護士などの専門家に相談することを検討すべきでしょう。

ダブル不倫（W不倫）を続けるか別れるか迷ったときに考えたいこと

関係が深まるにつれて、このままでいいのだろうかという迷いや不安は大きくなります。感情に流されるまま関係を続けるのではなく、一度立ち止まり、自分と相手、そして家族の将来について冷静に考える時間が必要。

ここでは、ダブル不倫の今後について決断するために、自問自答すべきいくつかのポイントを解説します。

相手の本気度はどれくらいか

相手が口にする「愛してる」「妻（夫）とは別れる」といった言葉が、本当に本心から出たものなのか、冷静に見極めましょう。

場の雰囲気を壊したくない、関係を続けたいという一心で、本心とは異なる甘い言葉を囁いている可能性も考えられます。

相手が本気であるかどうかは、言葉だけでなく行動に表れます。具体的に離婚に向けて別居や弁護士への相談を起こしているか、将来について具体的な計画を話してくれるかなど、その行動を客観的に観察することが重要ですよ。

相手は家庭をどう見ているか

不倫関係にありながらも、相手が自分の家庭や子どもについてどのように話すかにも注意を向ける必要があります。

配偶者への不満を口にしながらも、子どものイベントには積極的に参加していたり、家族としての体面をとても気にしていたりする場合、家庭を壊すつもりは全くない可能性が高いでしょう。

相手にとって、不倫はあくまで家庭の外での恋愛であり、守るべきは家庭であるというケースは少なくありません。自分との関係と、相手の家庭、どちらを優先する人物なのかを見極めることが大切です。

現在の関係は一時的な逃避なのか

今の関係が、本当に相手への愛情からくるものなのか、それとも家庭や日常のストレスからの一時的な逃避に過ぎないのか、自分の心と向き合う必要があります。相手と一緒にいることで得られる高揚感や安心感は、恋愛感情そのものではなく、現実逃避によってもたらされているのかもしれません。

もし現在の配偶者との間に問題がなく、不倫関係が終わったとしても、また別の相手を見つけて同じことを繰り返す可能性があるのなら、その関係は愛情ではなく、刺激や癒しを求めるための逃避であるといえるでしょう。

自分は傷ついていないか

ダブル不倫の関係は、知らず知らずのうちに心をすり減らしていることがあります。

会いたいときに会えない寂しさ、将来の見えない不安、嘘をつき続ける罪悪感、そして関係が発覚することへの恐怖。こうしたネガティブな感情に常に苛まれてはいないでしょうか。

好きだから仕方ないと自分に言い聞かせていても、実際には精神的に深く傷ついている可能性がありますよ。恋愛のときめきよりも、辛さや苦しさを感じる時間の方が長くなっているのなら健全な関係とはいえません。自分の心が発するサインに、正直に耳を傾けることが必要です。

ダブル不倫（W不倫）が辛い、疲れたときの別れ方

ダブル不倫の関係に未来がないと感じたり、罪悪感やストレスに疲れてしまったりしたとき、関係を清算して前に進む決断が必要になります。しかし、情が移ってしまった相手との別れは、決して簡単なものではありません。

感情的にならず、できるだけ円満に、そして確実に関係を終わらせるための具体的なステップを紹介します。

別れる覚悟を決める

まず最も重要なのは、何があっても絶対に別れるという強い覚悟を決めること。中途半端な気持ちで別れを切り出しても、相手からの引き止めや涙に心が揺らぎ、結局関係が元に戻ってしまう可能性があります。

なぜ別れたいのか、別れた後にどのような自分になりたいのかを明確にし、決意を固めることが最初のステップです。覚悟がなければ、この先のステップに進むことはできません。

別れたい理由を明確にする

相手に別れを告げる前に、なぜ別れたいのか、理由を自分の中ではっきりと整理しておくことが大切。理由は「家族をこれ以上裏切りたくない」「将来のない関係に疲れた」「罪悪感に耐えられない」など、正直な気持ちで構いません。

理由を明確にすることで、話し合いの際に感情的にならず、冷静に自分の意思を伝えられますよ。相手を責めるような言い方ではなく、あくまで自分の問題として、誠実に伝える姿勢が重要です。

話し合いをする

覚悟と理由が固まったら、相手と直接会って思いを伝える話し合いの場を設けましょう。LINEや電話で一方的に別れを告げるのは、相手を逆上させ、トラブルに発展する可能性があるため避けた方が賢明です。

話し合いでは、事前に整理した別れたい理由を冷静に伝えます。相手が感情的になったり、別れを拒否したりすることもあるでしょう。しかし、ここで同情したり、相手のペースに巻き込まれたりせず、毅然とした態度で別れる意思を貫くことが必要です。

連絡を絶って距離を置く

話し合いで別れに合意できたら、その後はきっぱりと連絡を絶つことが不可欠です。電話番号やLINE、SNSなど、相手と繋がる可能性のある連絡先はすべて削除またはブロックしましょう。

「元気にしてる？」といった何気ない連絡が、関係復活のきっかけになってしまうことはよくあります。物理的に距離を置くことで、お互いに冷静になる時間を作り、新しい生活へと気持ちを切り替える助けになりますよ。

職場が同じで完全に会わないことが難しい場合でも、業務以外の私的な接触は一切断つという強い意志が必要です。

もらったものや写真は処分する

相手からもらったプレゼントや、2人で撮った写真、思い出の品などは、目にするたびに過去を思い出させ、別れの決意を鈍らせる原因になります。辛い作業かもしれませんが、関係を清算すると決めた以上、これらの品は思い切って処分しましょう。

思い出の品を物理的に手放すという行動は、過去の関係に区切りをつけ、心理的にも前進するための象徴的な儀式となります。

まとめ

ダブル不倫は、既婚者同士という特殊な状況から、通常の恋愛や不倫とは比較にならないほど複雑な問題と高いリスクを伴います。

家庭生活のマンネリやストレスから逃れるため、あるいは失われたときめきを求めて始まった関係かもしれませんが、代償として家庭、社会的信用、そして多額の慰謝料という形で、築き上げてきた全てを失う可能性がありますよ。

とくに、関係が本気になるほどリスクは増大し、自分だけでなく、配偶者や子ども、相手の家族までをも深く傷つける事態に発展しかねません。

現在、ダブル不倫の関係に悩み、続けるべきか別れるべきか迷っているのなら、一度立ち止まって、感情ではなく理性で状況を判断することが重要です。相手の言葉ではなく行動を見極め、この関係が一時的な逃避ではないか、そして何より自分が傷ついていないかを真剣に問い直してみてください。

もし関係を終わらせる決断をしたのなら、強い意志を持って、冷静かつ誠実に別れを告げ、きっぱりと連絡を断つことが、新たな一歩を踏み出すために不可欠です。

問題に一人で向き合うのが難しい場合は、信頼できるカウンセラーや、法律の専門家である弁護士に相談することも有効な選択肢のひとつですよ。